「さよならの朝に約束の花をかざろう」を受験生が観たら想像を絶するクソ映画だった件(ネガキャン多め)
前期試験の前日ではありましたが、「さよ朝」を公開日に観に行きました。
世間では物凄く好評で、涙腺崩壊必至のようですが、
私個人の感想としては、クソ映画だったので、その理由と共にここに書き綴っていこうと思います。
ネタバレは極力しませんが、ネガキャンになる部分も多いので閲覧の際は注意をしてください。
今回の記事は主に否定的な記事となるので、評価できる点と交互に述べていきたいと思います。
問題点①:主人公だけが報われるストーリー
本作は、主人公マキアが葛藤などを抱えながら幸せに生きていくストーリーです。
対照的に、マキアを取り巻く環境や関わる人物などは報われないことが多く、全体的な世界観はもの凄くダークです。
あくまで個人の主観ですが、これがとんでもないぐらい気に入りません。
周りの人間は苦悩を抱え苦しみ訴えているのに、それも知らず(知り得ずという方が正しいですが)、呑気に幸せに浸っている、こんなのには涙の一つも流れません。
本作はそれを良いことに作品の本筋やメインキャラクターでさえも杜撰な作りになっています。(元の小説ではそうでないのかもしれませんが)
幸いにも、本編は主人公の視点に立って進むのですが、平気で他の人物の視点に切り替わったり世界観を見せてくるので、否が応でも主人公との対比をせざるを得ない状況になります。
その対比をした瞬間に、物語が主人公だけが報われるストーリーへと変化し、非常に嫌悪感を抱く展開が続いていくように感じていきます。
私は、「あの花」も「ここさけ」も観たことはありませんが、こういう作風が監督や脚本家の持ち味なら、こんな自己満でエゴイズムに満ち溢れた作品は絶対に観ないと思います。
評価点①:映像が綺麗
アニメ映画ではもうお約束ではありますが、映像が綺麗でした。
主人公マキアのイオルフ族は、似たような顔立ちや服装の種族でしたが、大勢の中でも判別がしやすく描き分けがしっかりしていました。
また、CG技術も目を見張るものがあり、ファンタジー色の強い本作と上手く調和していました。
キャラの表情、建物などの背景ひとつとっても魅力的で、アニメ映像の進化を感じました。
問題点②:キャラクターが魅力に欠けすぎている
本作は、「長寿な種と普通の人間の愛」という良くも悪くもありきたりなテーマを掲げていますが、これの魅力が一切ありません。
このテーマの魅力は、俯瞰的に作品を捉えることで、不変の存在と周囲の移り変わりの対比を演出するところにあります。
しかし本作は、主人公マキア側の変化や行き当たりばったりな環境にばかり焦点が当てられているので、「時間の変化」という情報の必要性が乏しいです。
それに対し、ラストシーン辺りで思い出がフラッシュバックするというあまりにもあからさまな演出を取っており、泣き所なのでしょうが正直笑ってしまいました。
やってることは有象無象の二番煎じで、演出もただ媚びてるだけ、こんな人が絶賛される世の中なのか、と。
また、これはネタバレになるのであまり言及はしませんが、本作は軍事的、政治的要素の強い作品です。
にも拘わらず、作中のキャラの作戦や意図はとても幼稚で、目も当てられません。
これは本作の殆どのキャラクターに該当します。
世界観的には中世及び近世辺りなのでしょうが、ハッキリ言って今時キャラクターが幼稚なファンタジーは存在しません。
ラノベ作家の才が無いだけで、古く昔から、政治色や軍事色の強い作品のキャラクターは、必ず論理にかなった行動をします。
「何でこんなことするんだ」と映画館で叫びそうになった程、キャラメイクが酷すぎます。
評価点②:EDが素晴らしい
本作で最も評価できる点だと思います。
映像もシンプルながら、歌い手様の声と本作の世界観が見事に合わさった名曲だと思います。
私もこのEDの時には泣いてしまいました。
美しいようで物凄く脆い、そういう危うさを孕みながらも透き通った歌声でした。
ここ1、2年で聴いた曲の中では、ダントツに好きになれる曲でした。
総評
評価できる点もありますが、ストーリーが酷すぎました。
周りの人間が不遇すぎて、主人公に同情できない程ブラックでした。
特に主人公以外のイオルフ族のレイリア、クリムは全年齢対象のアニメでなされるべき扱いではありません。子供にとってはもの凄く悪影響です。
この2人はあまりにも酷すぎて、監督の趣味を疑います。ハッキリ言って、ここら辺は吐き気を催すほど胸糞でした。
エリオルも不遇です。
あれを幸せ者と呼ぶ人がいたら、その人の神経を疑います。
メインのキャラでさえこんな扱いを受けているのに、主人公だけが良い思いをしているのは本当に腹立たしく、胸糞展開が続きました。
よく、主人公だけが報われる話というのも見ますが、世界観説明なども無いに等しいぐらい徹底的に一人に焦点を絞り続ける必要があります。
本作にはそれが全く足りません。
しかも、全年齢を対象としたアニメ映画において、ある程度エンタメに寄せる必要がある中この話の進め方を選ぶには如何せん無理があると思います。
そういうエゴイズムや自己満に溢れた作品がやりたいなら、ネットフリックスやAmazonプライムで配信したり、上映館を絞らないといけません。
少なくとも、全国ネットで宣伝し劇場公開している以上は、私みたいな監督の作品を知らない新規層や小中学生などの低年齢層にも配慮したエンタメ性の高いものである必要があります。
「君の名は。」がヒットしたのも、ここにあります。
庵野秀明や宮崎駿、細田守や新海誠のような超ネームバリューのある監督様方ならある程度自己満がまかり通ると思われます。
事実、本作も世間評価的にはそれらと同じ立ち位置なのかもしれません。
ただし、私はこの上なくクソ作品であると思いますが。
しかし、本作は安易に俳優等を起用しないで有名声優ばかり登用しているので、演技の面では素晴らしい出来であると言えます。
話も違和感なく入ってくることができました。
それでも、受験生としては、この作品を安易に認めたくないというのがあります。
本作において、主人公のマキア以外は所詮マキアの演出を手掛ける村人Bにしか過ぎません。有象無象な訳です。
結局のところ、話もハッピーエンドに見せかけているだけで最初からバッドエンドな訳です。
だからこそ、この作品が良いかと言われ首を縦に振れないのだち思います。
いや、例え受験生ではなくても、ひとりの人間として、この作品を否定したいと思う、そういう考えが生まれるに至りました。
まあ、観るか観ないかは自由です。
世間評価はもの凄く良いですし、悪く言うのは私だけですが、それでも私は、この作品を否定し続けます。
以上、感想でした。
ED後ラストシーンは「別れの一族」というテーマをぶち壊すので個人的に最も嫌いなシーンです。エンドカード1枚だけですが。